Art Exhibition
今年は、アルゼンチンを拠点に活動するビジュアルアーティスト ロミナ・ペルニゴットの作品シリーズ "Nuevas Narrativas Tangueras" がミロンガ会場を彩ります。
Nuevas Narrativas Tangueras
(タンゴの新しい物語)
2023年 4月6日 (木)~9日 (日)
西鉄ホール / TIEMPO HALL ミロンガ会場
第1回タンゴ世界選⼿権 タンゴ・サロン部⾨のファイナリストに入選した経歴を持つダンサーでもあるロミナ・ペルニゴット氏は、タンゴにおけるジェンダーという別の観点からタンゴを見つめ直し、グラフィック作品制作、ダンスワークショップ、書籍出版など様々なプロジェクトに取り組んでいるビジュアルアーティスト、タンゴダンサーです。
今回桜タンゴフェスティバルのフェスティバル会場で展示する『Nuevas Narrativas Tangueras』(タンゴの新しい物語) シリーズは、2018年に出版された『Tango. Equilibrios y desequilibrios』 (タンゴ 均衡と不均衡)の続編で、動き、線、色というツールを使い、タンゴと視覚芸術を絡み合わせた作品群となっています。
シリーズ作品にはタンゴで使われる楽器のなかのルシアー (弦楽器職人)の芸術が深く浸み込んでおり、特に楽器の中でもバンドネオンにアクセントがかれ、職人が愛情を込めてバンドネオンを解体しながら、価値のあるものを復元し、かみ合わせが悪くなった古い部品を廃棄する、その職人の心意気を"脱構築の象徴"として用い、現代のタンゴコミュニティーにおける変革の必要性に喩え表現しています。
イラスト画を通して、タンゴのパラダイムを変革し、より愛情深く包括的なタンゴを実現するために、我々はタンゴのあらゆる"ピース" (部品)を見直し、どの"ピース"を改善し、交換するか、または使い続けることができるかを見直していくべきではないかと優しく問いかけています。
彼女の描くイラストは、タンゴにとって最も重要な要素である物理的接触と身体での対話、コミュニケーションを優しく包み込み、ミロンガで生まれるダンサーとミュージシャンの詩的な響き合いと遊びのシーンを思い描かせてくれます。
"Las Nuevas Narrativas Tangueras"は、遺産に新しい意味を与え、健全な決裂を行い、そして進化の過程にあり力を与えられたタンゴの本物の系図を未来に繋げながら、歴史を書き換えていきます。そして、別の論点からタンゴについて感じ、考えるよう私たちを誘ってくれます。
本展示会は、アルゼンチン共和国外務・通商・宗務省文化局によりアルゼンチン文化普及に貢献する展示会として推薦状をいただいています。
Romina Pernigotte
(ビジュアルアーティスト / タンゴダンサー)
ロミナ・ペルニゴット:アルゼンチンのビジュアルアーティスト。
10 代の頃からアート、ダンスを学んできたロミナ・ペルニゴットは、90 年代からタンゴの絵画制作とダンスを始める。以来、線画とタンゴという芸術が持つ⾔語の相互作⽤を用いて活動している。また、ダンスとイラストレーションの指導にも力を入れている。
アルゼンチン国⽴芸術⼤学 (UNA)で作画の方向性を伴う視覚芸術の学位を取得。ビジュアルアーティスト、タンゴダンサー、イラストレーター、研究者、教師として活躍している。また、タンゴダンスにおけるジェンダーという視点からの教育学研究に専念するグループ『Aires del Sur Tango』、書籍の出版を通じてタンゴにおける男女差についての研究を形にしてきた様々な分野の⼥性を集めたグループ『Autoras Tangueras』の共同創設者としても活動している。
Aires del Sur Tangoとともに、2021年『Tango en devenir~ジェンダーの視点から見たダンス、教育、美学、政治のプロジェクト』をTango BA Festival y Mundial、タンゴ国立アカデミーのセミナーにて発表。2018年、自分の著書『Tango. Equilibrios y desequilibrios 』 (タンゴ。均衡と不均衡)を出版し、ダンスと描画という言語を組み合わせた学際的なプロジェクト『Bailar un libro』 (本を踊る)と題するワークショップをブエノスアイレス大学 社会科学部ジェンダー政策部、チリの都市バルパライソで開催されたバルパライソ・タンゴ・クィア、ブエノスアイレス・タンゴ・クィア国際フェスティバル (2019 年)、カルロス・ガルデル博物館 (2023 年) などで実施。
アルゼンチン文化産業見本市(MICA)のプログラムとしてCCK キルヒナー文化センター、CCCアルゼンチン文化センターで上映されたビジュアル作品『タンゴと視覚芸術』のキュレーターを務める。
これまで、アルゼンチン、メキシコ、コロンビア、チリ、ドイツで作品展を開催。また、アルゼンチン、スペイン、グアテマラの出版社からの依頼で本の挿絵を手掛け、コロンビアのボゴタで開催された『VI Salón de Ilustración Imagenpalabra』で特別賞「Perro de Plata (銀の犬)」賞を受賞。大学卒業論⽂「Recorridos Urbanos. Narrar con imágenes」は審査員からアルゼンチン国⽴芸術⼤学の授業で推奨されるべきと高い評価を得た。
2003年、第1回タンゴ世界選⼿権 タンゴ・サロン部⾨のファイナリストに選出される。以来、Aires del Sur Tangoやアルゼンチン、イタリア、メキシコ、チリのフェスティバル、⼤学、ミロンガ、⽂化施設などでダンサー、講師としても活動している。Sole Naniと共に、2015 年から 2022 年にかけてブエノスアイレスとチリのミロンガでパフォーマンスを披露している。ブエノスアイレスの老舗ミロンガ "サロン・カニング"で開催されたミロンガ・パラクルトゥラル(マージナルカルチャー)で最初の女性ペアとしてデモンストレーションを行った。
2020年、書籍『Tango. Equilibrios y desequilibrios" (タンゴ。均衡と不均衡) 』の続編として『Nuevas Narrativas Tangueras』(タンゴの新しい物語)シリーズの作品制作に取り組み、フローレス・タンゴフェスティバル (2021年)、第4回 国際トランスフェミニスト・タンゴフェスティバル (2022年)の一環としてブエノス・アイレスのローマ劇場ゴールデン室で展⽰。また2021年にはベルリンのテンペルホーファー フェルトで『Tango. Equilibrios y desequilibrios 』 シリーズが展示されるなど、ブエノスアイレスの様々なタンゴやアートのスペースで個展を開催している。
2018年からは、新刊出版に向けミロンガでのライブペインティングを介して、21世紀のタンゴの進化について熟考を誘うグラフィック構想案『Escenas del Tango Vivo』(生きるタンゴのステージ)に取り組むなど、現在もタンゴと視覚芸術の⾔語を行き来しながら、様々なプロジェクトに挑んでいる。
ロミナ氏は語る
"タンゴを描いたり踊ったりすることは、私たちが直感したことを明らかに示す手段。"
"タンゴは常に進化し続ける生き生きとした力であり、性別に関係なく、すべての人々が共感やアイデンティティを見出す場所。"